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Nossy(のっし―)です。


このブログでは過去にも何となく似た様な記事も書いてきた気がするのですが、


今回あらためてまとめてみます。



最新版の絵画高額ランキングを観てみると、


(めちゃくちゃ大雑把ですが、ドルは円×100倍の値段です)


1位は、レオナルド・ダ・ヴィンチの『サルバトール・ムンディ』で4億6030万ドル。(500億円くらい)

2位は、ウィレム・デ・クーニングの『インターチェンジ』で3億1700万ドル。

3位は、ポール・セザンヌの『カード遊びをする人々』で2億7800万ドル。

4位は、ポール・ゴーギャンの『いつ結婚するの?』で2億2220万ドル。

5位は、ジャクソン・ポロックの『Number 17A』で2億1100万ドル。

6位は、グスタフ・クリムトの『水蛇Ⅱ』で1億9770万ドル。

7位は、マーク・ロスコの『ナンバー6(すみれ、緑、赤)』で1億9700万ドル。

8位は、レンブラント・ファン・レインの『マーティン・スールマンズとオーペン・コピットのペンダント肖像画』
で1億9000万ドル。

9位は、パブロ・ピカソの『アルジェの女』で1億8960万ドル。

10位は、アメデオ・モディリアーニの『赤いヌード』で1億8010万ドル。



...という事で、見事上位10組は100億円以上の値段が付いています。



あ、でもこれはCDの売り上げなんかとは全然話が違って、あくまでも市場に売りに出されて

競り落とされた絵のランキングというだけであって、

ほんとうに歴史的に価値の高すぎる絵というのはもれなく美術館行きになっており、


一番すごい絵のランキング!...みたいなモノとは程遠いという事を理解して下さいね。


そしてこれからする話によって、上の値段表にすら何の意味もない事がわかります(笑)



さて、本題に入りましょう。


なぜ、絵1枚にこれほどの値段が付くのか。

上記の10枚の絵には何の共通性もありません。


写実的な肖像画もあれば、色んな色を塗りたくったような抽象画もあり、

シュールレアリズムっぽいやつ、ヌード、...


技術的な話でいってもとてつもなく上手いモノから、『ひょっとしたら私にでも描ける?』ようなモノまで

もうバラバラです。



唯一、何か共通点をむりやり云うならば、美術に詳しい人だったら、

全員の画家の名前を知ってるかも知れないな、


くらいなもんです。



実際、そこが一番重要な部分なんですけどね(笑)



まず、大前提として、


【芸術=人間】 である。



この法則を頭に焼き付けて帰って下さい。これがすべての答えなんです。


もっと具体的に云うと、



【芸術作品の価値=芸術家の人生】



ですね。



ピカソの逸話でピッタリの話があります。



ピカソ30歳の時の事。カフェにて。


ピカソの元に一人の女性がやってきてこう云います。


『あなたのファンです。私に絵を描いて下さいませんか?』


ピカソはそれを承諾し、その辺にあったナプキンか何かに30秒程度でさらさらッ、と

無難だが美しい絵を描きました。


女性がお礼を云って受け取ろうとすると、ピカソは云います。



『この絵は100万ドル(約1億円)です』



女性はびっくりして、『なぜ30秒で描いたような絵が100万ドルもするのです?』
と聴きます。


ピカソは云いました。


『30秒ではありません。30年と30秒です』




確かにその絵を描くのにかかった時間は30秒だったかも知れない。

しかし、ピカソは30年の年月を生きており、更には5歳かその辺りからもう本格的な絵を

描く人生を送っていて、

その過程が無ければこの絵は生み出し得なかったのだと、

そういう事なんですねぇ。



詐欺っぽくないか???



って思われた方も居るかも知れませんね。


しかし、ピカソは歴史上はじめて独立した画家として、絵を売るだけで生計を立てる事に

成功した人物だと云われています。

昔の画家は誰か大金持ちのパトロンが付いていて、その人に雇われるカタチで存在出来て
いました。


もしくは相当高齢になって何とかかんとか暮らせるようになったタイプも居ます。


ピカソはスタートが早かったのは大きいですが、20代の終わりには

誰に雇われる訳でもなく、絵を売るだけで豊かな暮らしをして居ました。


そういう事が出来たのも、上のカフェでの対話の様な考え方を採用して

自分の人生に生かしていたからだと思われます。



ピカソはとんでもなく戦略家だったと云えるでしょう。


芸術作品はただの紙きれ、布きれ、板きれではありません。


芸術家の人生や日々の試行錯誤が転写されている生き写しの様なモノです。


ですから、その絵に何が描かれているか、上手いのか、ヘタなのか、...

勿論、それがまったく評価の対象にならないかというと、そんな事はありませんが、


何よりも重要なのは、


その芸術家の芸術の探究の成果、考え方、人柄、様々な人生のストーリー、

芸術家自身の生のエネルギー、...


そういうモノすべてがその作品の価値の判断基準となるのです。


勿論、ある芸術家が普通に絵を描くだけで、その芸術家の人柄やどこまで考えているのかが

勝手に絵に出てしまうのですが。



いずれにしても、


ちゃんとその芸術家の価値を知ってもらってから、作品を相応の値段で購入してもらう



というプロセスは、


芸術家、お客さん、その双方にとって最重要な項目なのです。



たまに、抽象画を皮肉るための記事なのか何なのか分かりませんが、


抽象画の画家の絵画と子どもの落書きをバラバラにランダムで並べて、


『どちらもおんなじ様なモノでしょう?』

『寧ろ、子どもの描いた落書きのほうが優れているような事もあると思いませんか?』


みたいな結論でまとめていたりするんですが、



そういう事じゃないんですよね。



子どもの落書きには、芸術家としての試行錯誤が無いじゃないですか。


確かに子どもの描く自由な絵は時にとても魅力的です。

プロすらも凌駕するような作品を創り上げる事もあるでしょう。

それに価値がないとは云いません。


しかし、芸術家として何年も悩み、苦しんで創作した挙句に誕生した作品とは

意味合いがまるで違うのです。



芸術作品が極端に高額な値段で買われるのには

その芸術家への応援、そして知名度を向上させる意味もあるのです。



ZOZOの前澤社長が、2017年にジャン・ミシェル・バスキアの絵を123億円で購入したのも

当然作品を気に入った事もあるとは思いますが、


どちらかというと、アーティストの価値と知名度を上げるのが目的だと思われます。


前澤社長は「現代芸術振興団体」という若手アーティストを支援する団体を立ち上げたりしている
人物ですからね。

自らは元バンドマンでもありました。


ですから、芸術の価値の何たるかを熟知しているのでしょう。



という訳で、


『なぜ絵画1枚に何億円という値段が付くのか』


の答えとしては、



単純にその絵1枚の価値ではなく、その画家の芸術活動の歴史、および人生の価値を考慮して

値段が設定されるから。


という具合になるでしょう。



ですから、これはまた違った視点ですが、画家をやっている人も、

絵の技術ばっかり向上させてストイックにやっているだけでは

もしかしたら人間的な価値がそんなに上がっていかないかも知れませんよね?



...みたいな云い方をすると誤解を招くかも知れないんですが、


勿論、それだけ技術を磨いて、創作して、という態度は素晴らしいし、それは十分評価の対象に

なるとは思うんですけど、


最後の最後、人の気持ちを動かすのって、


技術じゃなくて人間力ですからね。



詰まり、人間性。


それって恐らく創作活動以外の部分で培われる機会が多いと思うんですね。

他人にどれだけ優しくなれるか、とか。

わかんないですけど(笑)


まぁ、結局のところ、人はそんな極端には変わらないのだろうし、

激しい性格、おとなしい性格、思慮深い性格、思いっきりのいい性格、ズルい性格、ヒドイ性格、


まぁ、それが素直に作品に出るだけの話であって。


そのどれかがダメという訳でもありませんしね。


どうせ、自分のファンは自分に似たような人だらけになるんですから(笑)



この世の中はまず、自分で自分を肯定しないと何もはじまりません。


そして、その肯定した自分を何かの手段で表現する、と。


そうしたら、同じような考えをもった人が集まって称賛される、励まし合う。


それでいいんじゃないかと思います。



これって、芸術だけの話じゃないですよ。


会社員だろうが、アルバイトだろうが、派遣だろうが、何だろうが、


自分の価値を低く設定し、自分を安売りするのは良くないです。



日本という国は特に個人を積極的に評価してくれるような社会ではありません。


だから、自分が少しでも『低く評価されている!』と感じたら、


もっと上司に云ってみたり、その組織を辞めてみたりして、



自分の価値をちゃんとわかってくれる環境、人物たちを探して出逢わないと

ヒドイ目に合いますよ。


おんなじ事してても、評価のされ具合でもらえるお金も精神的な楽さもまるで違うのですからね。


海外はもっともっと平気で云うんですよ、


『私の報酬が私の才能に見合ってない』


とかってね。


勿論、そういうからには努力する必要はあると思いますが、

ちゃんと自分を表現する事も大事なんです。



この国はオリンピックの金メダリストがホームレスになってしまう様な場所ですからね。


あまり自分の国を悪く云いたくはありませんが、


努力して成果も上げているのに待遇がヒドイなんて時は

主張しないと大損ですよ。



芸術家だけでなく、人はみなアーティストなのです。

自分を大切に。



皆さんに幸せが訪れますように。


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