Nossy's stamp




Nossy (のっし-)です。


今回は80年代にイギリスで活躍したロックバンドの

The Smiths (ザ・スミス)について語ります。


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さて、このバンドをどう語ろう。


やっぱり4人組(後期の方は一時5人)のバンドでしたが、


中心人物は、


ヴォ-カルのモリッシ-と、


ギタリストのジョニ-・マ-だと思います。




モリッシ-はものすごく癖の強いロックスターですよね(笑)



この人をどう説明するかでスミスというバンドの
大方が決まってしまうかも知れない。



私は、今回この記事を書くために

スミスの音源を改めて聴いたりライヴ映像を見たり
したのですが、


なんというか、ピ-タ-・パ-カ-?(笑)


スパイダーマンに変身する人物ですねぇ。



映画も色々ありますが、00年代に流行った

サム・ライミ監督の映画のピ-タ-。


トビ-・マグワイアを思い浮かべて下さい。


あの感じを思い出しましたね。



ピ-タ-・パ-カ-って、イケてなくて、

見た目もパッとしないし、

いじめられてもいる。



けれども、よく観ると、成績は超優秀だし、

色々不器用だけど男気はあるし、

実は顔も悪くないんですよね。


なぜかスクールカ-ストの最下層にいるブナシメジみたいな扱いをされてますが、


実際、なかなかカッコいいし、スパイダーマンになって

世界を救ってみたりもするんです。



モリッシ-はスパイダーマンではありませんが、

そういう人がロックスターやっちゃいました!


みたいな感じなんでしょうかねぇ。

(違うのかな)



ちょっと尾崎豊的な匂いもするんですが、

モリッシ-は尾崎豊よりも随分メンタルが強いです(笑)



当時のスミスのファン層はどんな感じだったのでしょう。


毎日読書ばかりしている本の虫みたいな

純文学好きで影のある人にすごくウケそうです。


歌っている内容に救いが無さすぎます(笑)


基本、レ・ミゼラブル的な世界観ですからね。




なんせ、代表曲のサビが、




2階建てバスや10トントラックが僕らの車を
はね飛ばして死んでも

キミのそばで死ねるなら

こんな素敵な事はない



なんていう歌詞なんですから(笑)



でも、それを生き生きと余裕で歌うモリッシ-。


叫んだり涙を流したり転がったり泥まみれになったりはしないんですよね、

尾崎豊みたいに。



花をステージの上に巻き散らし、くねくねしたダンスを踊り、

観客と丁寧に握手までしながら歌います。



まるで、



『人間は弱さを見せられる事がほんとうの強さであり、その時にこそ真に輝くのだ』


とでも云わんばかりに堂々と。




そういう姿勢が社会的弱者にウケたのかも知れません。

名前だけ借りるなら、


BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)ですね。



当時のイギリスは女性の首相、

マーガレット・サッチャ-の支配下にありました。



極端な話、労働者階級が軽視されていた時代です。


まともな仕事はなく、一生懸命仕事をしても
税金で持っていかれてしまって

生活保護を受けていたほうがまだマシだというような風潮がまかり通って

ゾンビみたいに生気を失った社会。


サッチャ-政権は1979年~1990年と長く続き、


80年代はまるまるそんな感じでした。



そんな労働者階級の悲劇を赤裸々に歌う。

すごくパンクです。



1976年~1978年くらいにかけて大ブームとなった

パンクも、


80年代の初めにはほとんど消滅。


結局、キラキラ、ピコピコしたアイドルや

ニューウェ-ブに取って変わられていました。


デュランデュランやワム!、カルチャークラブ、

アメリカからはマイケルジャクソンやマドンナが

出現してアイドルパワーを爆発させていました。



そんな最中に、スミスはとってもパンクでした。


見た目がパンクっぽくないとか、

音がネオアコっぽいとか、


そういうのは置いておいてほしい。



実際、80年代後半まで第一線で大活躍し、

名盤を何枚も生み出した素晴らしいバンドなのです。



結成は1982年。

デビューが1983年。解散が1987年。


活動期間は約5年。



しかし、彼らはとても多作なバンドでした。


アルバムを年表にしてみました。



1984年 『The Smiths』(1st アルバム)

『Hatful of Hollow』(コンピレーション)


1985年 『Meat Is Murder』(2nd アルバム)


1986年 『The Queen Is Dead』(3rd アルバム)


1987年 『The World Won't Listen』(コンピレーション)

『Strangeways, Here We Come』
(4th アルバム)


コンピレーションにはシングルのA面B面や

ラジオ番組での生演奏などが収録されています。



たった5年でこれだけの活動量。

仕事熱心ですね。





話が人物紹介からズレてきましたが、


もう一人の重要人物、ジョニ-・マ-。

スミスをはじめた時、ジョニ-は19歳でした。



モリッシ-は23歳。歳が4つ離れています。



しかし、ジョニ-はすでに幾らかのバンドで

現場を経験済み。


一方のモリッシ-は実家暮らしで、

❰ニュ-ヨ-ク・ド-ルズ❱(アメリカのパンクバンド)


のファンクラブのイギリス支部長で、会報誌を書いていたのだとか。



そして、ジョニ-はその会報誌の愛読者だった。


それが2人の出逢いのきっかけ。


ある日ジョニ-はモリッシ-の自宅を訪ねます。


そして窓をコンコン、と叩き、


『ねぇ、バンドしようよ?』



なんかアニメみたいな展開ですが、大体事実なんですよね(笑)



19歳のイケメンギタリストと、


実家暮らしの本の虫の23歳のオタク。


この2人の出逢いこそがスミスの誕生になるのです。




しかし、これがまたどちらも天才でした。


取り敢えず百聞は一見にしかず。

スミスの音楽を聴いてみて下さい。



なんというか、『な、...なにこれ?!』


というのが、私の第一印象だったと思います。

(初めて聴いたのは随分前ですが)



とても不思議な構成をしているな、と思いました。


通常のポップスとは明らかに違う。


バンドのありきたりな構造から何か逸脱している!




こういう感覚をもったのはレッドツェッペリンを
聴いた時以来でした。


ツェッペリンは楽器隊の奏でるインストに

ロバート・プラントが結構ムリヤリにメロディを
乗せて歌っている感じ。



もう最早、


『メロディがうまく乗ってなくてもどうでもいいや-』

みたいな。



しかし、スミスも相当ふわふわしたメロディラインですが、

バックとかみ合っています。



色々調べてみると、モリッシ-の作った詩に

ジョニ-が曲を付けるという、


いわゆる『詞先』の作り方みたいです。

(全部ではないと思いますが)



ちょっとジョン・レノン風でもありますね。



ジョンよりはキャッチ-でないにしろ、


モリッシ-のメロディはすごく頭にこびりついて
離れないというか、


歌えと云われて簡単に歌えるような


間違ってもカラオケ向きなんかでは絶対にない曲ですが、


すんごい画期的なメロディです。


もうこれは聴いてもらうしかありません。



兎に角、ツェッペリンが

『勢いでやっつけてしまえ!』


みたいな感じだとすると



スミスはかなり詩を重要視した、繊細な曲構成です。


モリッシ-はヴォ-カリストとしてとても優れていますが、


ミュージシャンというよりも詩人的な人ですからね。




あと、この2人は共にイギリスはマンチェスターの
出身なんですよね。


❰マンチェスター❱と云えば、


ニューオ-ダ-にはじまり、

ストーンロ-ゼズやオアシス、ケミカルブラザーズなどの出身地でもありまして、


いわばイギリスの80年代~90年代の代表的なロックスター達の故郷です。



スミスは、マンチェスター関連の直接的な文脈の中にある訳ではないかも知れませんが、


ロックが育ちやすい土地なのかも知れませんね。

(第2のリヴァプ-ルみたいなものです)




楽曲を聴いていると、レディオヘッドがすぐに
思い浮かびます。


オアシスのノエル・ギャラガ-も音楽に目覚める
きっかけとなったのは

ジョニ-をテレビで観たからだと云ってます。

(ノエルとジョニ-は今も親友で、ノエルの作品にはジョニ-が必ずといっていいほど参加しています)




活動中のトピックスとしては、


とても多作だった訳ですが、独特の作り方の精度が頂点を極めたのが

3rd アルバムの『Queen Is Dead』だと思います。


メロディのはまり具合が全曲奇跡的なレベルです。



このアルバムは個人的に、

イギリス人のロックバンドが作り出したアルバムで10本の指には入れたい!



それが、なぜ解散に向かっていったのか。


ある意味、このメンバーでやれる事をやりつくして
しまったのかも知れませんね。


とても密度の濃い5年間だと思います。




最後に云うのもなんですが、


そんな素敵で偉大なバンドなのにも関わらず

日本での一般認知度はかなり低い印象。



アメリカでは当時ほとんどウケなかった。



あくまでもイギリスのマイノリティに神と崇められるようなバンド。



太宰治みたいな感じなんでしょうか(笑)


どうしてもモリッシ-のメンタルの強さが


純文学ちっくな世界との安易な関連付けを拒んでくるんですけれども(笑)



でも、当時、某有名ロック雑誌のカメラマンさんが

現地で


『スミスってどういうバンドなの?』


って聴いたら、



『同居人に自分のミルクを飲まれた時の気分みたいな音楽だな』



と返されたとかなんとかで(笑)



恐らくイケイケなクラブでかけたら絶対にアウトな
音楽だったのでしょう。


曲としてはノリは良いので、英語がわからない

日本みたいな国では通用するのかも知れませんが。




でも、マイノリティのジメジメした主張が

割りと手放しで称賛されるような風潮もある現代なら


スミスも余裕でマジョリティに許容されるのかも
知れませんね。


昔はオアシスみたく、フーリガンみたいにワイワイ云ってないと

バカにされたのかも。



スミスは随分と時代を先取りしていたのですね。


そう! 寧ろ、今の日本の、... 特に

ボ-カロイドとかに歌わせているような曲は

何だか主張としてはスミスっぽいような気もします。




でも、そこにいつまでも居てはいけない世界みたいな感じもあって。



いつか卒業する世界。


でも、たまに傷付いた時に戻ってみる世界。




それが、スミスの音楽でしょうかね。





個々の楽曲についての解説が無いですが、

あまりに独特なので、


もう、『聴いて下さい』としか云いようがない(笑)




個人的にはシンセサイザーがかなりいいアプローチをしている曲が多い印象ですが、


当時のライヴ映像を観ると、シンセの人はおらず、

シンセパ-トはジョニ-がギターでカバーしていたりしますね。




まぁ、よりラウドな感じでそれもまた良し。




ちょっと簡単すぎますかね。ネタが少なくて
申し訳ないです。



それでは、また。