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Nossy (のっし-)です。


前回に引き続き、ビ-トルズの『ホワイトアルバム』の

曲紹介です。


いよいよ最終回。


レコードでいうD面、Disc2 の後半を解説していきます。



●曲紹介●


❰Disc2❱



8.「Revolution 1」

...ジョン・レノンの作曲です。



ジョン・レノンの自信作のひとつです。



ジョンは新しいアルバムを作る時には、

もっとも自分が自信をもって作れた曲をいの一番に

スタジオに持ってきて、


最初にその曲に取りかからせて来ました。



『REVOLVER』制作時は、

「Tomorrow Never Knows」。


『SGT.ペパー』制作時は、

「Strawberry Fields Forever」。



そして、この『ホワイトアルバム』の時は

「Revolution」をやろう!と


ジョンは最初に云いました。



ただ、気を付けたいのは、ジョンが最初に構想していた「Revolution」は、


現在のかたちとはかなり違う形態でした。


曲の長さは約12分ほどあり、


前半はよく知られているポップなメロディーのある

「Revolution」ですが、


後半になると、急に実験色を強めていき、

ジョンが叫んだり、他の曲がミックスされたりするような

カオスな展開だったようです。


(残念ながらそのテイクは未だに公の場には出てきていませんが...)



ジョンはノリノリでしたが、他のメンバーは

大反対。


長すぎるし、実験的過ぎるしで

しかもジョンはこの曲をシングルにするとまで

云い出す始末。



結局、他のメンバーに留められて、

ジョンは発表を断念。



しかし、それで話は終わりません。



「では、前半部分だけでもいいからシングルだよな?」


(この前半部分こそは、この「Revolution 1」です)




しかし、それでも他メンバーからの了承は得られず。


曲のスピードアップを求められ、更には

「Hey Jude」のB面として

やっと発売される事になりました。



これにはジョンも相当怒りを覚えたようです。



この「Revolution」という曲の歌詞はかなり政治的

に強いメッセージが込められた歌で、


ジョンは完成したらなるべくはやく世界に発表したかった訳です。


しかし、他メンバーには、


「曲がキャッチ-じゃない」

「政治的過ぎて誤解される」

「スピードが遅いし、長い」


などなど散々文句を云われた挙げ句、


あからさまにキャッチ-な「Hey Jude」の影に隠れて発売されるという屈辱を味わったのです。



結果、この「Revolution」という曲は

3タイプのヴァ-ジョンに分かれる事になりました。



1つ目は、「Hey Jude /Revolution」の組み合わせで

1968年8月に発表されたシングルのモノ。


スピードアップしてかなりキャッチ-になっています。 


『青盤』や、『パストマスタ-ズVol.2』 などに収録されています。



2つ目は、『ホワイトアルバム』に入っている

「Revolution 1」です。 


はじめにジョンが持ってきた12分の曲の

前半部分に当たる曲です。

  

3つ目は、同じく『ホワイトアルバム』に入っている

「Revolution 9」です。


これは12分だった時の後半部分を元に

大幅に改造を加えた実験音楽です。



最終的にはこのように着地しました。




「Revolution 1」に関して云えば、


ジョンが上手く歌えなかったため、

床に寝っ転がって歌ったテイクが採用されています。


あとは歌詞の内容ですが、



「君が破滅について語っている時には、

俺を頭数に入れるなよ」 



というくだりがあるのですが、


この「Revolution 1」では、

「入れるなよ」と歌ったすぐ後に「入れろ」

と歌っていて、

どちらかよく分からないようなボカシた表現になっています。


一方、シングルで発表された「Revolution」では、

ハッキリと「入れるなよ」のみ、となっていて



ジョンによれば、「当時はほんとうに決めかねて

とうとう結論が出なかったから、


両方のパターンを作ったんだよ」との事。



なかなか難産の曲でありました。

(ジョンがこだわるといつも難産になりますが(笑))



9.「Honey Pie」

...ポ-ル・マッカートニーの作曲です。


非常にオーソドックスというか、少しオ-ルディ-ズ感の漂うお洒落なナンバー。


こういう曲もスラリとやりこなすポ-ルは
何度も云いますが、器用です。



10. 「Savoy Truffle」

...ジョ-ジ・ハリソンの作曲です。



この曲はなかなか愉快で、着想は、

友達のエリック・クラプトンが虫歯を我慢しながらも

お菓子を食べ続ける様子を面白がっていて

思い付いたとの事。


「Savoy Truffle」とはサボア風トリュフの事。


クラプトンが食べていた「グッドニュース」という

チョコレートの詰め合わせに入っている

お菓子の名前を羅列していくような歌詞に

なってます。


「クリームタンジェリン」「モンテリマ」

「ジンジャースリング」「コ-ヒ-デザート」

「サボイトラッフル」


「チェリークリーム」「アップルタルト」

「ココナッツファッジ」.....


と続きます。



ホ-ンセクションにかなり強めのディスト-ションがかけられたサウンドが特徴的です。


その他オブラディ・オブラダの名前が出てきたりと
歌詞はエンタメに満ちてますね。


そしてメロディーも素晴らしいです。   



なんだかジョ-ジの曲じゃないみたい。


初めて聴いた時はジョンの曲かと思ったくらいです。



11.「Cry Baby Cry」

...ジョン・レノンの作曲です。



題名は新聞広告から取ったそうです。

ジョンは新聞からの引用が多いですね。


そして内容はマザ-グ-ス。



これといった特徴もありませんが、

妙に耳に残るメロディーです。


ジョンはこの曲は嫌いと云ってましたね。



この曲が終わって次のトラックにいくまでに、


ポ-ル作曲の「Can You Take Me Back」という曲が

短いですが収録されてます。


いわゆる隠しトラックですね。



ホントに何でもやってますね、『ホワイトアルバム』は。




12.「Revolution 9」

...ジョン・レノンの作曲です。



上のほうでも説明しましたが、12分あった

「Revolution」から分離した後半部分を大幅に改編し、


様々な効果音やらノイズやらを突っ込んで完成させた実験音楽です。


ミュージックコンクレ-トというジャンルになるのでしょうか。



「No.9、No.9.....」という呪文のような声が

離れませんね(笑)


「ウブブブブ.....」という苦しそうな声とか。



兎に角、不気味です。


ジョンとオノ・ヨ-コが好き勝手に色々繋げて遊んだ結果であり、


最終的にはオノ・ヨ-コがミックスを完結させたそうです。



ポ-ルはこの曲をどうしても『ホワイトアルバム』には入れたくなくて

妨害に走っていたようですが、


ポ-ルが旅行中にサッサと完成させて

入れてしまったみたいです(笑)



でも、こういう曲もあるからこそ、

『ホワイトアルバム』は更に大きな懐をもつに

至っているのだと思いますね。



13.「Good Night」

...ジョン・レノンの作曲です。


ついに最終曲です。


ジョンの作った優しい子守唄をリンゴ・スターが歌います。


前曲の不気味な闇を抜けた後にこの星空の世界が

フワッ、と包み込んでくれる。


その瞬間は最高ですね。






.....ということで、『ホワイトアルバム』

D面の紹介が終了です。


このD面は「トリッキーサイド」とでも呼びたいほど

癖の強い曲ばかりで構成されています。


2枚組のアルバムの最後のほうなど

もしかするとまともに聴かれない可能性もありますから



そこを逆手に取って、一番挑戦的な楽曲をここに

固めたのかも知れません。




と、いう訳で全5回に渡ってお届けした

『ホワイトアルバム』解説でございました。




この時期はビ-トルズメンバー間の緊張関係が

ピ-クに達しつつある頃でしたが、



その中でも『ホワイトアルバム』に収録されている

30曲の優れた楽曲や、


シングル発売された「Hey Jude」、


発表はもう少し後になりますが、

「Across The Universe」や「Let It Be」も

この時期に生まれていました。


そして、

後にポ-ルのソロ作品として発表される
アコギの美しい曲「Junk」や、


ジョンのソロとして発表された「Jealous Guy」

の元となった「Child Of Nature」という曲も

生まれていたりと、


大変実り多い時期であったとは思われます。








それでは、この辺で。