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Nossy(のっし―) です。


今回はプリンスが2006年に発表したアルバムである


『3121』


について紹介していきたいと思います。


80年代の全盛期後、90年代はレコ―ド会社との確執から

自分のア―ティスト名を呼び方の無いシンボルマ―クに変更したり、戻したり、


バンドのダンサ―と結婚して離婚したり


ポップスタ―に返り咲こうとして
成功したり滑ったり


いずれにしても色々挑戦を繰り返したプリンスでしたが、


ライバルのマイケル·ジャクソンがより巨大なスタ―になっていったのとは逆に

売上は全体的に落ち、じゃっかんマイナ―な

ミュ―ジシャンになってきていた00年代のプリンス。



しかし、プリンスの特徴である【多作家】という所だけは変わらず、


マイケルが相変わらず4年に1枚という超ロングタ―ムでアルバムを発表したのに対して

鬼の様にアルバムを出したプリンス。


例えば、90年代に入ってから、この『3121』

のアルバムが発売された2006年までの

プリンスとマイケルのアルバムを比較してみましょう。




●1990年

プリンス『Graffiti Bridge』

マイケル なし


●1991年

プリンス『Diamonds and pearls』

マイケル 『Dangerous』


●1992年

プリンス『Love Symbol』

マイケル なし


●1993年

プリンス『The Hits/The B - Sides』(ベスト)

マイケル なし


●1994年

プリンス『Come』『Black Album』

マイケル なし


●1995年

プリンス『The Gold Experience』

マイケル『HIStory』(2枚組·内1枚はベスト)


●1996年

プリンス『Girl 6』『Chaos And Disorder』

                『Emancipation』(3枚組)
 
マイケル 『The Very Best Of Michael                                      Jackson』(ベスト)


●1997年

プリンス なし

マイケル『Blood On The Dance Floor』
                  (『HIStory』のリミックス+α)


●1998年

プリンス『Crystal Ball』(未発表音源集)

                『The Truth』

マイケル なし


●1999年

プリンス『The Vault』
                
                『Rave Un 2 The Joy Fantastic』

マイケル なし


●2000年

プリンス『Rave In 2 The Joy Fantastic』
                 (前年のアルバムのリミックス)

マイケル なし


●2001年

プリンス『The Rainbow Children』

                『The Very Best Of Prince』(ベスト)

マイケル『Invincible』

                『Greatest Hits』(ベスト)
                 
          
●2002年

プリンス『One Nite Alone...』

                『One Nite Alone... Live!』

マイケル なし


●2003年

プリンス『Xpectation』『N.E.W.S』

マイケル 『Number Ones』(ベスト)


●2004年

プリンス『Musicology』

                『The Chocolate Invation』

                『The Slaughterhouse』『C - Note』

マイケル『The Ultimate Collection』
                 (未発表音源集)
             


●2005年

プリンス なし

マイケル 『The Essential Michael Jackson』
                   (ベスト)


●2006年

プリンス『3121』

                『Ultimate』(ベスト)

マイケル『Visionary』
                  (ベスト)



.....

という具合。


プリンス、出しすぎ(笑)


マイケル、出さなすぎ(笑)

(しかも、どんだけベストアルバム出すんや)




しかし、売上だけで云うと、

マイケルは

1995年に出した『HIStory』が2000万枚以上

2001年に出した『Invincible』が1000万枚以上売れていて、


プリンスは恐らく上の1枚足りとも100万枚

いってないと思います。
(違ったらスイマセン、でも大体そんなノリ)



マイケルは何年もかけてじっくり丁寧に
創って出すパタ―ン。

その間はベストアルバムの売上でもたせる感じ。



プリンスは創ったらすぐ出したい人。

あるときはライヴ音源をパッ、とアルバムにして出したり、

膨大な未発表曲の中から選んでパパッ、と
創って出したりします。

創りこんでいるアルバムは案外少ないです。



別にどちらもそれぞれ素晴らしいですし、

上の表も別にマイケルをディスる為に書いた訳ではありません(笑)



マイケル出さなすぎ、とは云いましたが、

アメリカのミュ―ジシャンだったら

割りとこういう人は多いです。


プリンスが異常なだけです(笑)



まぁ、でも個人的にマイケルはもう少し

妥協というか基準をゆるめて新作を発表して欲しかったです。




スイマセン、『3121』の話がどこかへ行ってしまってます


『3121』はマイナ―になりかけていたプリンスが久しぶりに

ポップスタ―として返り咲いたアルバムでした。


時代がプリンスを再発見した瞬間です。


まぁ、売上がいくら落ち込もうと、この時点でプリンスは

音楽界のレジェンド的存在であり、


マイケルがみんなのアイドル、ス―パ―スタ―だったのに対して、


プリンスは【ミュジシャンズミュ―ジシャン】、


詰まり、音楽家のお手本となり、崇拝される様なア―ティストだったのです。


曲紹介いきます。



●●曲紹介●●


①「3121」


...表題曲。

【3121】というのはプリンスの住んでいた家の住所か何かだったと

昔何かで読んだ事があります。


ズンズンッ、ズンズンッ、という重たいベ―スのリフレインが特徴的。

どんどん穴を掘り進めていく様な気分になります。


相変わらずシンセのプリセットまんま使いなんですが

それが逆に潔いほど気持ち良い。


声を変化させるアプロ―チもファンには
おなじみですね。


このアルバムはプリンスが全盛期だった80年代の頃の曲を

00年代風味にブラッシュアップした様な感じですね。


②「Lolita」


...めちゃくちゃシンセです(笑)


でもメロディは可愛くてキャッチ―。

最近の路線は大人っぽい落ち着いた作風だったんですが、

このアルバムは80年代の様にハジケてます。


③「Te Amo Corazon」


...先行シングル。


異国情緒溢れるスロ―ナンバ―。

メロディもキャッチ―で雰囲気あります。


正直売れそうには無い感じですが、

普通に綺麗な曲。


④「Black Sweat」


...この時代の流行りに乗っている感じもある曲ですが、

よく聴くと昔のヒット曲「Kiss」みたいな

マイナスの美学に貫かれた美しく力強い曲。



⑤「Insence And Candles」


...これもこの頃の流行りに乗った様なR&B路線。

この時期に目を付けてプロデュ―スまで手掛けていた女性歌手ティマ―を

大幅にフュ―チャ―した曲です。


でも、メロディはスゴいです。

この路線でこんなにメロディアスな曲は他の人には創れないと思います。


⑥「Love」


...歪んだシンセ?みたいな音が癖になります。


前曲に続きティマ―とのデュエットも美しいハ―モニ―です。

というか、ほんとうにメロディがイイ。



みんなが求めていたプリンスが帰ってきたという感じですね。


別に何をやってもいいんですが、たまには

こういう王道路線に戻って来てくれたら
とってもうれしい。



⑦「Satisfied」


...出ました、ファルセットでのソウルフルな

スロ―バラ―ド。


このアルバムはホントに往年のファンも

新規のファンも両方楽しめるアルバムだと思いますね。



⑧「Fuly」


...どうしてもイントロは山口百恵の「横須賀スト―リ―」を思い出してしまいます(笑)


「1999」の亜種の様なシンセリフに乗って

プリンスが怒り狂います。


カッコイイです、このアルバムの山場。



⑨「The Word」



...これも最近の流行りを上手く取り入れた作風。

でもあくまでプリンス印にしてしまう。

最後のギタ―ソロ炸裂はしびれるしかありません。


メロディもいいですしね。

昔の色気全開でネットリくる感じはほとんど

消えていて、

それに不満を覚えるファンも居るとは思うんですが、


これはこれでいいじゃないですか、
プリンスも48歳だったんですから。


逆に48歳でこのまったく枯れてない
自然な魅力ってスゴくないですか?


⑩「Beautiful,Loved And Blessed」


...この曲はティマ―が大幅にリ―ドヴォ―カル

を取ってます。

すごく綺麗な声ですよね、ティマ―。


ゆったりまったりスロ―ペ―ス。


昔は物足りなさを感じて居ましたが、

今聴くととっても癒されます。


私も歳をとったモノです(笑)



⑪「The Dance」


...シリアスでスロ―な曲。

ここまで聴いてくるとすっかりプリンスとティマ―のデュエットの美しさに

うっとり魅せられてしまってます。


これも美しい曲ですね。


正直、こういう曲ってプリンスが腐るほど書きそうな曲ですし、


今までのアルバムにも死ぬほど収録されていて、

そういう時には大して何も思わない事も多いんですが、


なんでこのアルバムの中ではこんなに輝いているんだろう...



しまった、完全に心をもっていかれてしまいました(笑)



あ、以前も書きましたが、私、今まさに

アルバムを横で流しながら書いてますので。


これ、名曲だった。


⑫「Get On The Boat」


...ジャムセクションっぽい曲。

というか、これもプリンスのパタ―ンのひとつ、【JBスタイル】ですね。


プリンスのライヴといえばこういう曲を

延々と何十分もやってお客さんと一体になっていくのは

絶対にやるんですよね。


ガチガチのポップミュ―ジックの世界だけしか知らなければ

『何をいつまでもダラダラやってんだ!』


とかなるんでしょうけど、


こういうのが音楽を楽しむっていうヤツかも知れませんよね。


特に弾き手にとっては楽しい時ですよ。


メイシオ·パ―カ―のサックスもめっちゃカッコイイ。



...という訳でキャッチ―だけど大人っぽい魅力に溢れたアダルトな53分間。



久しぶりに聴きましたがすごい良いです。


そうか、ねっちょりプリンスに抵抗がある人には

このアルバムとか最高にオススメですね。


『プリンスってクネクネしてる変態のオッサンでしょ?』

(ひどすぎる)


みたいな印象をもっているかも知れない輩に

聴かせるとヨロシイかと。



プリンスは90年代終盤に改宗して

あからさまなエロティック路線は消えたんですよね。



余談ですが、私はその人の歴史を考えながら音楽を聴くのが好きなんです。


例えばこの『3121』が出たのが2006年。


その10年前といったら1996年で、

この年にプリンスは結婚しました。

一番幸せな時が訪れたと思いきや、

待望の子どもは病気に犯されていて生後間もなく死亡。


子どもの誕生を心から待ち望んでいたプリンスは絶望します。

でも、そんな姿を外では一切見せずに

自分の人生をかけて創ったと本人が云っていた3枚組の超大作『Emancipation』を

リリ―ス。

マスコミ嫌いのプリンスも珍しく積極的にメディアに出演して宣伝しましたが

結果は惨敗。


ハッキリ云って何もかも上手くいってない時期でした。



更にその10年前といえば1986年。


1984年に発表したアルバム『Purple Rain』と

同名の主演映画の大ヒットによって大スタ―

状態は続いていましたが、


『自分のやりたい音楽をする!』という姿勢で

革新的な音楽を創っていた頃。


売上はどんどん落ちていきましたが、

音楽的には一人革命状態と云えるほど圧倒的でした。


しかし、『Purple Rain』の映画で味をしめて創った2作目の主演映画『Under The Cherry Moon』は大コケしました。




その10年前といったら1976年。

この年に本格的にプロとしての音楽活動を開始したプリンスにとってスタ―トの年でも
あります。



『3121』は丁度プロ活動をはじめてから

30周年に当たる年だった訳ですね。


そしてこの10年後の2016年にプリンスは

他界します。


こうやって捉えると感慨深いモノがあるとは思いませんか?


ただ単に『3121』というアルバムの出来不出来について話すのではなくて、

その人の歴史と共に味わうとまた色々見方が変わってくるんです。


.....




この後、2010年代に入るとプリンスも流行りのEDM を積極的に取り入れる様になります。


私はそこには付いていけませんでした。

勿論、一通りは聴きましたし、やっぱりプリンスだから良い感じに仕上げては来るんですが、


私にとっての一番のネックはメロディが置き去りにされている所。


2018年現在の曲はかなりの割合でそんなテイストになって来ている様な気がして


少々嫌気がさしているんです。


別に60年代ほどヴィンテージっぽくなくてもいいし、

70年代ほど複雑なプログレ感もいらないし、

80年代ほどのあからさまなギラギラポップでなくてもいいんですが、



そう、丁度この『3121』くらいの

ポップアルバムがもっと出たらうれしいな、


とか思う今日この頃の私です。



それでは今回はこの辺で、


皆さんに幸せが訪れますように


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