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Nossy(のっし―) です。



英国のバンド【クイ―ン】のドキュメンタリ―映画である

『ボヘミアン·ラプソディ』が大ヒットしている様ですね。



私は実はクイ―ンは別段興味がもてなくて、

だけど、私もポップロック好きでメロディ好きな人間ですから、


クイ―ンも一通りは聴いたんです。


勿論すごいバンドだという事は理解出来ますが、

共感がイマイチもてません。


恐らく自分の中にあまり無い要素が多いのだと思います。

ア―ティストを好きになる時、きっとそのア―ティストの中に自分を発見するのだと

思うんですよね。


私が今まで書いてきたマイケル·ジャクソンや

プリンスの中には私を感じて居ります。


しかし、単純にクイ―ンには引っ掛かる所がありませんでした。

私に近い存在では無いのでしょう。


逆に弟はクイ―ンの大ファンで、今回の映画も

公開されるやいなや観に行ったとの事です。


私はまだですが、とんでもなく話題になっていますから、

気が向いて、まだ上映していたら観てみようかな、とは思って居ります。



と、前置きが長くなりましたが、

私はビ―トルズが好きなんですよ



スト―ンズより、クイ―ンより、

断然ビ―トルズ。



理由は山の様にあって、最早理由などどうでも良いくらいなんですが、


一番は【メロディの良さ】ですかね、あえて云うならば。


このビ―トルズが確立したメロディっていうのは

現代に至るまでのポップスの歴史そのものだと思います。


奇抜なコ―ド進行の上に良質な歌メロ。


クラシックの域に達しています。


で、結局このブログは何が云いたいか、

というと、


ビ―トルズ好きな私がクイ―ンと聴いて

思い浮かべるのが、


【ジェリ―フィッシュ】というアメリカのバンドなんですね。

主に90年代初頭に活躍したバンドです。


たった2枚のアルバムを残して解散してしまいましたが、

その2枚の出来は凄まじく、ポップスファンの間では

いつまでも語り草になっています。


1枚目はビ―トルズ的な要素を存分に兼ね備えた上で

アメリカ風に仕上げた感じ。


2枚目も基本はそうなんですが、更にパワーアップしていて、

クイ―ンやビ―チボ―イズみたいなコ―ラスや

アレンジも加わっています。


メロディもかなり凝っていて癖になります。

ただ、ビ―トルズの様に歌メロがドキャッチ―という域にまでは

達していないかも知れませんが。


バンドメンバ―もそれなりにカッコいい人達なんですが、

キャラクタ―性がめちゃくちゃあるかというと...そんな事はないかも知れません。




最大の問題は発表の時期にありました。


90年代初頭といえば、NIRVANA や
PEARL JAM、SMASHING PUMPKINS などの

グランジの勢力が最も強い時期で、

良質なだけのポップロックはかやの外状態でした。



もう少し時期がズレて、90年代も半ばになると、

英国でブリットポップのブ―ムが起きて、

Oasis やBlur などを中心としたポストビ―トルズ的なバンドが活躍する時代がやって来ました。


その頃にジェリ―フィッシュのアルバムが出ていれば、

アメリカで受けたかは分かりませんが、

英国では幾らかヒットした筈なんです。


時代を先取りし過ぎましたね。

あと2年ズレていたらスタ―だったのに。


しかし、このバンドのドラム兼ヴォ―カルの

アンディ·スタ―マ―は、


日本の奥田民生と友達になり、奥田民生のアルバムに曲を提供したり、

PUFFY(パフィ―)の名付け親になったりと

脚光を浴びました。


奥田民生も1993年にユニコ―ンが解散した後

1994年にはソロ活動を開始し、

邦楽ロックの新しい可能性を提示して居ます。


奥田氏もビ―トルズ好きで有名であり、

その点でもアンディと意気投合したのでしょう。


2人のアプロ―チは洋楽、邦楽の違いはあれど

共通点はかなりあります。


いわゆるビ―トルズなどの王道バカ受けロックの先駆者達の

名曲を元ネタにして、自己流に改造、

現代風にして提出するというモノです。


いわゆるオタク的なやり方ですね。


渋谷系とも少し違う印象があるのは、

あっちは割りと丸々パクってしまうというか

サンプリングというか、

頭でっかちな感じなのに対して、



奥田氏やジェリ―フィッシュは技術力もかなり伴っているという違いでしょうか。



奥田氏の『29』や『30』といったアルバムもかなりスゴいんですが、


いまいち評価されていない印象。



そんな忘れられた傑作である、

ジェリ―フィッシュの2nd アルバムである


『Spilt Milk』

(邦題:『こぼれたミルクに泣かないで』)


をざっと紹介したいと思います。


●●曲紹介●●


①「Hush」



...【Hush】とは静かにさせる、黙らせる、

という意味。


曲の雰囲気からしても


『し―ッ、...さぁ、寝る時間ですよ』

という感じでしょうか。



あたたかいコ―ラスワ―クが素敵なこの曲は

リスナ―を夢の世界へ案内します。


このアルバムは【夢の中の出来事】

みたいなコンセプトみたいですね。



②「Joining The Fun Club」



...いきなり名曲がやって来ます。


アンディの歌声は少しフレディ·マ―キュリ―に似ていますね。


アンディはヴォ―カルだけでなく、ドラムも担当していて、

ライヴでもその形態で演奏します。


ドラム叩きながらこんな複雑なメロディをスイスイ歌い上げるアンディがスゴい。



メロディ◎、主にクイ―ンを感じさせる良質な曲です。

ビ―トルズの雰囲気もあるかな。

それはジェリ―フィッシュの楽曲のほぼすべてに云える要素です。


でも、この曲はモロにクイ―ンですね。


途中、テンポアップする所などもあり、

プログレっぽくもあります。


ジェリ―フィッシュがアメリカの音楽市場から出てきた時に比べられたのが、

英国のポストビ―トルズバンドの老舗

【XTC】でした。


アメリカの【XTC】みたいな位置付けは間違ってないと思います。


でも、アメリカ人って無条件で垢抜けてるんですよね(笑)


英国人は少しイモ臭い。

そこがまたいいんですがね。



後にPUFFY がカヴァ―して居ました。


③「Sebrina, Paste and Plato」



...これもモロにクイ―ン風味の曲。

相変わらず完成度が高いです。

途中でワルツになったり、シャフルのリズムに絡んでくるギタ―は

ビ―トルズの「Getting Better」風。


古今東西のポップスを混ぜ合わせて楽曲を創る能力はすごい域にありますね。


そういうポップス職人バンドはめちゃめちゃ出ました。


10cc、XTC、SQUEEZE、Tears For Fears...



私はこのジェリ―フィッシュ、そしてこのアルバムが一番かな、

と思います。


まぁ、順位を付ける様なモノでもないとは思いますが。



④「New Mistake」



...これもクイ―ンっぽいですね。

そしてやっぱり仄かにビ―トルズをまぶした様な。


クイ―ンほどドキャッチ―な曲はついに創れませんでしたが、

個々の小品では本家にも引けを取らない程
バラエティ豊かです。


私は個人的にクイ―ンよりジェリ―フィッシュのほうが好みです。


1st はクイ―ン色はほぼ無かったんですが

この2nd はめちゃくちゃクイ―ン寄りになりました。


当時は「パワーポップ」とかいうジャンル分けがされていた気がします。



⑤「The Glutton Of Sympathy」


...アコ―スティックであったかい名曲。

そして何だかアメリカ的です。


ジェリ―フィッシュは1st からこういう曲が観られましたが、

全部素晴らしいですよね。

カラフルな曲でも聴かせるのに、アコギテイストでもダレない。


レベル高いです。


途中からエレキも加わって盛り上がって終わります。


⑥「The Ghost At Number One」


...これもクイ―ン&ビ―トルズ風。

こればっかり云ってますが、この合わせ技を

オリジナリティも保ちながらここまでの完成度で成し遂げたバンドは

私が知る限り他に無いです。


この曲では途中ビ―チボ―イズにもなりまして、

その部分も本家そっくり。

物真似芸人ですね。


でも、確実にオリジナリティはあります。


アンディはポップオタクですね。


【XTC】のヴォ―カルもアンディ·パ―トリッジで、「アンディ」です。

アメリカとイギリスの「アンディ」が良質なポップ職人でした。


どちらもスゴいバンドでしたが、ついには

大きく売れる事はありませんでした。


⑦「Bye,Bye,Bye」


...これはビ―トルズ風。というかポ―ル·マッカ―トニ―ですね。

歌メロも相当キャッチ―で、その点ではこのアルバム随一です。

どこかサ―カスみたいな雰囲気が終始漂っています。

そのあたりはジョン·レノンのサイケ期っぽい。


名曲。


⑧「All Is Forgiven」


...いきなり激しいギタ―が炸裂しますが、

この展開はTears For Fears 風味ですね。


そして、モロにクイ―ンのオペラ座の夜みたいなコ―ラスが入ったり、


マニアック過ぎます。


このポップ職人めが!(笑)



⑨「Russian Hill」


...⑤と同じ様なアコ―スティックな落ち着いた雰囲気。

ホントに聴かせますよねぇ。

うっとりしてしまいます。


何だかビ―トルズの「She' s Leaving Home」

みたいな部分もありますね。


この曲、ポップ職人の御用達の曲なんですよねぇ。


ビ―トルズを上手い事焼き直そうとしたバンドは古今東西腐るほど居たと

思いますが、


不思議と本国イギリスよりもアメリカのバンドのほうが

イイ感じだった様な気がするのは気の性なんでしょうか。


アメリカ人は兎に角オタクだろうが何だろうが

垢抜けているのが特徴なんですが、

そういう所が効いているんでしょうかね?


⑩「He' s, My Best Friend」


...音使いが可愛らしい小品です。


どこかで聴いた事がありそうな曲ですが、

この際そんな事はどうでも良いのです。


イイものはイイ。


⑪「Too Much,Too Little,Too Late」



...ここに来てアメリカのハ―ドロックバンドがやりそうな曲が来ました。


勿論随所にクイ―ンやビ―トルズは挿入されますが。


こういう曲はイギリス人には創れないのではないでしょうかね。


⑫「Brighter Day」



...ラスト曲。


英国風サイケな癖の強い曲ですね。


バックのキ―ボ―ドみたいな音が印象的です。


ゆったりゆったり行進している様な曲。


後半の印象的なドラミングは

ジョン·レノンのソロの「Instant Karma!」風。


そして、冒頭の①「Hush」の雰囲気が帰ってきて

目覚ましが鳴り出します。


それをチンッ!と止めると朝がやって来て

アルバムは終了です。


基本的に【夢の中の出来事】というコンセプトなんですよね。


そういうコンセプトも『Sgt.ペパ―』あたりを参考にしているのでしょう。



...という訳で、良質なポップス空間が展開される46分。



まぁ、熱くなって紹介しましたが、基本は

ロックオタク向けのバンドですね(笑)



知っていれば知っているほど元ネタに気付けて楽しくなってくる仕様です。


でも、別に知らなくて普通に聴いても全然楽しめるレベル。


これは奥田民生もそんな感じですよね。


わざとオマ―ジュを強調する創り方というか。


『どうだ、スゴいだろう!』ではなくて、

あくまでも元ネタへの愛でやっている。


その辺が渋谷系と違う所ですかね。

(いや、私は渋谷系も好きなんですけどね(笑))



という訳で、ポップス/ロックファンはご一聴下さいませ。



しかし、まぁ、


クイ―ンの【ボヘミアン·ラプソディ】の映画がウケていると聴いて

ジェリ―フィッシュを思い出すあたりが

私も結構なポップスオタクだなと(笑)





それではこの辺で、


皆さんに幸せが訪れますように



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