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Nossy (のっし―) です。


今回はマイケル·ジャクソンの『BAD』というアルバムについて、

内容の解説と、その頃のマイケルについて語ります。



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●基本情報


『BAD』


リリース:1987年8月31日

プロデュ―サ―:クインシ―·ジョ―ンズ、
マイケル·ジャクソン(本人)


推定売上枚数:3500万枚  (現在までに)

発売された時のマイケルの年齢:29歳



★★チャリティにアトラクションに映画に大活躍★★



『Thriller』(スリラ―)発表後のマイケル·ジャクソンは単なるミュ―ジシャンのワクを超えて、

最早、ひとつの社会現象となりました。


『Thriller』の発売は1982年でしたが、

次回作の『BAD』は1987年。


5年の歳月がかかっています




これには2つの大きな要因があると思います。


①存在自体が社会現象になった事で、

音楽以外の活動もやる事になった。



②『Thriller』が世界一の売上となり、

次回作はその記録を超せるのかという事で

プレッシャ―がかかった。



しかし、大前提として、マイケルは完璧主義者なので、

ひとつのアルバムを創るのにかなりの時間をかけるのは普通の事ではありました。


1979年『OFF THE WALL』~

1982年『Thriller』でも3年間あります。




1984年に兄弟の【ジャクソンズ】と共に

《ビクトリ―ツア―》というライヴで世界を廻っています。


これは、1984年に【ジャクソンズ】名義で発表した『Victory』というアルバムに関する

世界ツア―です。


意外な事に『Thriller』のツア―は行われなかったんですよね



実質、この兄弟と行った《ビクトリ―ツア―》が、

『Thriller』のツア―の様な位置付けになります。


マイケルのソロの曲もたくさん披露して居ます。


最後まで兄弟は付いて来ましたが、

いきなりソロの世界ツア―というのも厳しかったのかも知れません。


結果的には良かったのかも知れませんね。


しかし、このツア―の終了と同時に、

マイケルは兄弟から完全に自立します。





1985年には、

『We Are The World』



という楽曲を発表しています。


これは、アメリカの有名なア―ティストが集まって、

アフリカの飢餓に苦しむ子ども達の為に行ったチャリティ活動でした。


マイケルはこの曲を作曲し、録音にも参加しました。


この動きが発展して、1985年にはアメリカ、イギリスの2国で、

大勢の人気ミュ―ジシャン、バンドが出演して開催されたチャリティイベント


【ライヴエイド】


が行われましたが、これにはマイケルは出演せず。


理由は不明ですが、本来のチャリティ目的からどんどん離れてしまった様な感もある

このイベントに、

マイケルは違和感を感じていたからかも知れません。


1986年には、ディズニ―ランドの中のアトラクションのひとつとして創られた3D 映画である

【キャプテンEO】



に主演します。


監督はジョ―ジ·ル―カスなのですが、


内容がほとんど

【スタ―ウォ―ズ】


みたいで笑えます(笑)


マイケル·ジャクソン主演でスタ―ウォ―ズをやった様な映画です。


『マイケルかっこい―ッ!』という熱烈なファンにはうれしい内容ですが、


一般的な出来としてはどうなんでしょうかね。

何とも微妙です。



1987年にはアルバム『BAD』を発売。

『Thriller』の売上を超す事は出来ませんでしたが、

3000万枚以上を売り上げる大ヒットとなります。



そして、この年から1989年にかけて、

マイケル初のソロのワ―ルドツア―を開始します。

一番最初にやったのは日本の後楽園球場でした。


この時の日本ライヴのDVD を持っていますが、

流石のマイケルも初のソロライヴ、

ちょっとグダグダ感があります。


そこからムダを削ぎ落としていって、

本拠地であるアメリカはマディソンスクエアガ―デンでのパフォ―マンスは

ツア―開始から半年後でありました。




余談ですが、外国のバンドが世界ツア―を行う時に、

最初に日本を選ぶパタ―ンは多いのです。


なぜなら、観客が好意的だから(笑)



他の国だとヘマしたら物が飛んできたり、

乱闘騒ぎになったり、ブーイングが激しかったり、

精神的にやられます。


その点、日本人は外タレにはおおむね好意的で優しい傾向がありますから

やりやすいのでしょう。


クイ―ンやボン·ジョビの様に、日本人に受け入れられた事から知名度を上げて、

世界のトップに躍り出たグル―プも多く、


外人のミュ―ジシャンに親日家はたくさん居ます。




1988年には、マイケル主演、脚本の映画、

【ム―ンウォ―カ―】


が公開されます。


これまた不思議な完成度の作品で、

マイケルのマイケルによるマイケルの為の映画となっております。


マイケル大好きなら一見の価値はあると思いますが、

一般の映画としては...(笑)


しかし、マイケルってホントに普通のシチュエ―ションの映画を創りませんよね。


女性と恋に落ちて、ライバルが現れて、

ダンスバトルをしたり.....


いわゆるプリンスの【パ―プルレイン】みたいな映画ですが、


そういうの、絶対にないです。



大抵、悪の秘密結社が出てきたり、変てこな生命体が活躍したり、

ロボットやお化けに変身したり忙しいです。


ゲテモノ扱いされるのが嫌いな割りに

ゲテモノ好きですよね❓(笑)




更にこの年には自宅を巨大アミュ―ズメントパ―クに大改造。

これは、マイケルはディズニ―ランドが大好きなのですが、


彼が行くと大騒ぎになって遊べないし、

毎回貸し切りにして遊ぶのも手間なので、


『じゃあ、自宅をディズニ―ランドにしてしまえばいいんだね』


という。


ここは世界中の子ども達に解放されていて、

誰でも気軽に遊ぶ事が出来たそうです。


もう常人とは考えるレベルが違います(笑)


マイケルのこの家は


【ネバ―ランド】


と呼ばれていました。


その他にも自伝を書いて発表したり、

ビ―トルズの楽曲の権利を買い占めたり、

マイケルを題材にしたゲ―ムが発売されたり、


兎に角、この80年代後半は、ソロアルバムこそ1枚の発売でしたが、


色んなメディアを取り込んで、その存在と影響力は

超巨大なモノとなっていきました。



しかし、こういった人物に付き物の誹謗·中傷は後を絶たず、


マイケルは変人である


という一定数の人も出現し、


本国アメリカにおいての人気は80年代半ばをピ―クに、

少しずつ下火になっていきました。

(といっても売上的には以降もすさまじかったですが)


★★『目標は1億枚』、そう意気込んで創った3枚目★★



『Thriller』が世界一の売上を達成しましたが、

マイケルはそれでも満足せず、

次回作は当然の様にその記録を自ら塗りかえようとします。


『目標は1億枚だ、次のアルバムは1億枚売ってやるぞ!』



マイケルの野心はすごいです。


実際にマイケルの部屋にはマイケル自筆で、

【1億】


と書かれた紙が貼られていたとか。

受験生みたいですね。



そうやって創られた『BAD』は、かつてない程に

マイケルの趣味全開の作品となりました 


マイケルのソロアルバムの中では、マイケル単独で作曲した曲の比率の最も高いアルバムです。


ある意味で、これがマイケル·ジャクソンの頭の中の世界なのかも知れません。


アクションアドベンチャ―

映画みたいなアルバムです


マイケルの【陽性】の部分が出たアルバムと云いますか。



この次のアルバム『Dangerous』もまたマイケルの別の色が濃いアルバムですが、

こちらは【陰性】の部分が出た


ダ―クファンタジ―映画の様なアルバムです



私の中では兄弟アルバム扱いなんですが(笑)


さて、それでは曲の解説に入っていきましょう。


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Photo




●●収録曲の解説●●


①「BAD」


作曲:マイケル·ジャクソン


...マイケルの定番スタイルの曲ですね。


『OFF THE WALL』における「Don't Stop Til You Get Enough」や、


『Thriller』における「Wanna Be Startin' Somethin'」と同じ路線の

最新版という感じです。


『Who Is BAD ❓』


というかけごえが特徴的ですが、

この場合の『BAD』は《悪い》というより、

《イカしてる》みたいなニュアンスの様です。


どうやらこのアルバムの全体的な方向性として、

今までのイナたい感じや、夢の世界みたいな感じを捨て去って、


鋭い感じや都会的な感じ、流行っぽい感じを出そうと努力している様に伝わって来ます。


が、やっぱり、マイケルの

感覚は普通とはかなりズレてるみたいです(笑)

(それがいいんですけどね)


だって「俺はイカしてるぜ!」っていう内容の歌はダサいですよね(笑)


ただ、カッコいいビジュアルやダンスでカバ―しているのは見事です。


マイケルは最後の最後まで


【ダサカッコいい男】


でありました。


どれだけ新しさを目指しても、

【超アナログ人間でした】


批判ではありません。だから世界一になれたんです。

エルヴィス·プレスリ―もジョン·レノンも同じです。


そこら辺の普通にカッコいいイケメンのお兄ちゃんは世界一にはなれません(笑)



で、マイケルがこういう路線を打ち出そうとした理由のひとつに、

ライバルの

【プリンス】


の影響が大きいと思われます。


向こうはどうか知りませんが、マイケルは同い年で、

ほとんど同じ時期にソロとして人気が爆発したプリンスに、

相当なライバル心を燃やしていた様です。


この「BAD」という曲では、なんとプリンスに連絡をして、共演をもちかけて居ます。


二人は話し合いの機会をもった様ですが、

交渉は決裂し、2人の夢の共演は実現しませんでした。


しかし、その後、2人は音楽での共演こそなかったものの、

個人的にはマイケルがプリンスの家に遊びに行って、

一緒にテニスやビリヤ―ドを楽しんだそうです。

マイケルはダンスは超上手いのですが、

基本は運動音痴であり、何をやってもプリンスの圧勝だったそうです。

微笑ましいエピソ―ドですね。


この曲はPV も凝りまくっているので一見の価値ありですよ。



②「The Way You Make Me Feel」



作曲:マイケル·ジャクソン


...シャッフル調のノリノリの曲です。


なんでもマイケルのお母さんからのアドバイスで創った曲なんだとか。

お母さんが好きな曲調なんですかね。


メロディも抜群に良くて、ライヴでも定番ですが、


そのライヴの様子がまた(笑)



PV と同じ様なシチュエ―ションのパフォ―マンスなんですが、

まぁ、兎に角、


ちょっと違和感がありますよね(笑)


何がって、やっぱり


マイケル、女性に興味がないよね


という事がバレバレみたいな事になってます。

『美人な女性を男が求愛ダンスでモノにする』

みたいな流れなのですが、

どう観たって違和感しかない。



いや、別にダンスに問題があるとか、

質が低いとかそんな事は一切ないんですが、


色気が出てないですよね。



マイケルも女性のお尻を触ったりする時もあるんですが、

これも『演技だから仕方なくやってます』感がアリアリと出てます。


いいんですけどね。


ある友人は、最早、


『マイケルって女性と並ぶとカッコ悪いよね』


と云い放ちましたよね。

確かにそうかも知れない。


「Beat It」とか「Dirty Diana」における女性ギタリストとの絡みもムリがあるし。


「You Rock My World」のPV なんてオカシイの極みですよ(笑)


あれで惚れる展開になる訳がない。



ただ、【女の子】と並んだら絵になるんですよ



映画の『ム―ンウォ―カ―』でのケイティとの絡みとかいい感じだし、


『This Is It』のツア―で主戦力のギタリストだった女の子のギタリストとの絡みは普通にいい感じでした。


同じく『This Is It』内での「I Just Can't Stop Loving You」をデュエットしていた女性も

相性が良いように思いました。



詰まり、マイケルはあんまり色気バリバリの

「私は女よ」っていう【女性の色気を全面に出す】タイプは苦手そうですし、

実際、並んでもしっくり来ません。


大人の女性でも、『女の子』と表現出来そうな、

元気で明るく健康的な人やボ―イッシュな感じの女性とはいい感じですね。



偏見かも知れませんが。


Michael Jackson 『The Way You Make Me Feel』-YouTube



③「Speed Demon」


作曲:マイケル·ジャクソン


...バイクのエンジン音が入っていたり、

「ハイウェイをぶっ飛ばせ!」


みたいな曲です。


映画『ム―ンウォ―カ―』の中にPV 的な感じでこの曲が挿入されて居ますが、

狂信的なファン(クレイアニメで表現されている)とウサギの変装をしたマイケルが

カ―チェイスをする、という


なんとも奇抜なシ―ンです。


ホントにマイケルって、


人間ディズニ―ですよね。



小品ですが、メロディも良くて、使われている音もすごく印象的な良曲です。



Michael Jackson 『Speed Demon』-YouTube



④「Liberian Girl」



作曲:マイケル·ジャクソン



...ハイウェイから一転、そのままゆっくりと雰囲気がジャングルへ移って行きます。


エキゾチックな名曲です。
 

私はこの路線は、大好物ですね。



こういう曲のイメ―ジが発展して、

後の「Who Is It」や「Earth Song」みたいな

壮大な曲になっていったのではないでしょうか。


ライヴでもやりませんし、このアルバムの中でも何だか埋もれ勝ちのような気がしますが、


こんなメロディの美しい名曲もありません。



ある意味、この曲の相手の女性像なんかが、

マイケルにとってのファムファタ―ルなのかも知れませんね。



しかし、残念ながら現実にこんな女性は存在しないのです(笑)



PV も完全に内輪ネタですが、マイケルが監督でした~~のオチはまぁ、悪くはないかな。



Michael Jackson 『Liberian Girl』-YouTube



⑤「Just Good Friends」


作曲:テリ―·ブリテン、グラハム·ライル



...マイケルとスティ―ヴィ―·ワンダ―のデュエット曲ですが、


作曲はどちらの手によるモノでもないという珍しい曲です。


マイケルとスティ―ヴィ―はモ―タウン時代からの親友で、

2人とも子どもの時から芸能界で切磋琢磨やってきた戦友です。


相手のスティ―ヴィ―は1970年代に全盛期を迎えて、

70年代は、ある捉え方としては『スティ―ヴィ―の時代』とも取れなくない程の活躍ぶりでした。


そして、80年代は完全にマイケルの時代だったのです。


この曲は、

なんというか悪くはないんですが、特に2人の化学反応が起きている訳でもなく、

豪華なゲスト曲としては大した事のない出来となっております。



寧ろ、同時期にこの2人が録音した別の曲

「Get It」のほうがいい感じだと思いますが、


そちらはスティ―ヴィ―のアルバムのほうに収録されています。



それを云い出すと、前作の『Thriller』の時も、

ポ―ル·マッカ―トニ―とのデュエット曲で

『Thriller』に収録されたのはマイケル作曲の

「Girl Is Mine」でしたが、


やはり、この同時期にマイケルとポ―ルは他の曲もいくつか共作しており、


その中でも素晴らしい出来の「Say Say Say」

という曲は、


これまたポ―ルのアルバムに取られています。


選曲はあくまでクインシ―·ジョ―ンズなので
彼の趣味というか考え方なんでしょうね。


クインシ―の選曲の考え方としては、

少なくともマイケルのアルバムにおける選曲の仕方は、


●歌メロの良いモノである事。


●アルバム全体のバランスを考えた上で選ぶ事。



があった様で、


そう考えると上の2つの

一見名曲を手放してしまっているかの様な選曲も

納得がいく様な気もしてきます。



⑥「Another Part Of Me」


作曲:マイケル·ジャクソン


...ディズニ―ランドのアトラクションのひとつとして創られた、

【キャプテンEO】というマイケル主演の3Dアドベンチャ―映画の劇中歌として作曲された
楽曲です。


海賊っぽいイメ―ジの曲ですね。


これもクインシ―とマイケルとの間にひと悶着あった様で、


マイケルは別の自作曲である

「StreetWalker」という曲を入れたがったんですが、

クインシ―はこの曲のほうが出来が良いからという事でとうとう譲らなかったとか。


確かに「Streetwalker」もかなり良い曲であり、

部分的には形を変えて、ライヴでも使用され続けるくらいマイケル的には執着をもった曲でしたが、

(例えば、「Smooth Criminal」のオ―プニングでマイケルが幕の後ろでシルエットで踊っている時に流れているのは

この曲のリフの変形だと思います)


クインシ―が選ばなかったのは前述の通りで

恐らく、「歌メロがイマイチ」だったからなのかも知れません。


同じ様な理由で、【キャプテンEO】の挿入歌である、

「We Are Here To Change The World」という曲も

なかなかノリノリの良曲で、『BAD』に入っていても何ら違和感なしですが、


同じく「歌メロが弱くて」はずされたのではないかと推測して居ります。


まぁ、アトラクションの曲が2曲も入るのを嫌ったのかも知れませんが。


Michael Jackson 『Another Part Of Me』-YouTube




⑦「Man In The Mirror」


作曲:サイ―ダ·ギャレット、グレン·バラ―ド


...マイケルの【平和賛歌】の代表曲です。


「鏡の中の男から始めよう」


というフレ―ズが単純ですが、粋ですね。


映画【Moonwalker】のオ―プニングを印象的に飾り、

マイケルのライヴではいつも最後を大々的に飾ってきた無くてはならない大切な曲です。


マイケル流のゴスペルですね。


Michael Jackson 『Man In The Mirror』-YouTube




⑧「I Just Can't Stop Loving You」


作曲:マイケル·ジャクソン


...前曲の「Man In The Mirror」を作曲した

サイ―ダ·ギャレットとのデュエット曲です。





この曲はこのアルバム『BAD』の先行シングルとして発表されました。


なんというか、またこれも『Thriller』の時の

「Girl Is Mine」の様に


【見せ球】


っぽい匂いもありますが、見せ球にしては

完成度も高く、全米1位も獲得しています。


この曲はシングルで出た時などの最初のヴァ―ジョンでは、

冒頭に短いマイケルの語りが入っていたんです。


しかし、後にカットされてしまいました。

それ以降のモノには一切この語りは入っていません。


これは賛否両論だと思いますが、私は


「語りがない方が良い派」


ですね(笑)


プリンスとかもめちゃめちゃ曲の中に語りを入れるのが多い人なんですが、


プリンスの場合はなんか自然というかいい感じなんですが、


私は個人的にはマイケルに関しては曲の中では語ってほしくないですね。


なんか全然しっくり来ないし、さまにならないですから。


マイケルは語る様に歌うレベルにまで到達して居ますから、

別にわざわざ語りを入れなくても大丈夫だと思います。


Michael Jackson 『I Just Can't Stop Loving You』-YouTube


⑨「Dirty Diana」



作曲:マイケル·ジャクソン


...ここから一気に暗い世界に突入していきます。

スタ―の男を惑わせるグル―ピ―の歌です。


いわゆる「Billie Jean」と同じ様な世界観ですね。


ただし、「Billie Jean」の中では完全に女性を拒否していたマイケルですが、

(「君は僕の恋人じゃないし、その子も僕の子じゃない」と云いきってます)


この「Dirty Diana」の中では、ハッキリとは描かれてはいないものの、

グル―ピ―の誘いに乗ってしまったかの様な描写も観られます。


大体、最後のほうで


カモ――――ン!!!


って叫んでますし(笑)


やけくそになったんでしょうか。



マイケルにとって【ダイアナ】と云えば、

【ダイアナ·ロス】の事で、


マイケルはまだ少年時代に、

同じ事務所の先輩歌手でかなり歳も離れていたダイアナに

『僕と結婚して下さい』


と告白したそうですが、見事に玉砕。


『もう絶対結婚なんてしない!』


とその時誓ったそうな。

(でも、後に別の人と結婚します)



イギリスはウェンブリ―スタジアムで1988年に行われたライヴでは

ダイアナ妃も観客として来ており、


この曲をライヴでやるのは失礼と思ってやめようとしていた所、


ライヴの前にダイアナ妃本人に、

『私、あの曲好きだから絶対にやってね!』


と云われたそうです。


すごい粋な人ですね、ダイアナさん。


その映像は公式にDVD として発売されて居ますが、

なんとなくいつもより遠慮がちに歌っている様に観えるマイケルが可愛い(笑)




Michael Jackson 『Dirty Diana』-YouTube



⑩「Smooth Criminal」



作曲:マイケル·ジャクソン


...これもマイケルの代表曲ですね。


「Billie Jean」と共にマイケル·ジャクソンの
イメ―ジをカタチ作っている重要な曲です。


冒頭の心臓音はマイケルの実際の心臓の音をデジタル処理したモノらしいです。



映画【Moonwalker】における最大の見所のひとつともなっているシ―ンに使われています。


【ゼロ·グラビティ】という、

身体がななめに傾くパフォ―マンスが有名な曲で、



PV の中だけでなく、ライヴでも披露しています。


あれは何か仕掛けがあるみたいで、結局私もよく解らずじまいなんですが、


足の裏にフックか何かが取り付けられているのだと思って居ります。

幾らマイケルの身体能力がスゴイといっても
あそこまで傾くのはムリでしょうから(笑)



歌詞の内容も意味深で、分かりそうで分からない、

何があったのかをリスナ―が想像できる余地をかなり残した様な優れた歌詞です。



Michael Jackson 『Smooth Criminal』-YouTube





で、

この『BAD』というアルバムが発売された1987年は、

丁度、【レコ―ド】と【CD】の入れ替わりの時期であり、


このアルバムもその2形態で発売されたのですが、

レコ―ドのほうは収録時間の都合上、この曲がラストの曲となっています。




⑪「Leave Me Alone」



作曲:マイケル·ジャクソン


...【CD】のみに収録されたラスト曲。


早い話が、


『僕をいじめるヤツはあっちへ行け!』


みたいな曲ですね。


このパパラッチやタブロイド批判みたいな曲もマイケルはすごく多いです。


でも、私の偏見かも知れませんが、 



愛や平和を歌っているより、

女性不信やパパラッチ批判を歌っているマイケルのほうが

生き生きしている気がするのは

気のせいなのでしょうか(笑)


曲としては、これまた映画【ム―ンウォ―カ―】の中にすごく凝ったPV があります。


ガリバ―みたく巨大になったマイケルの中を、

等身大のマイケルが飛行船の様なモノでめぐっていくみたいなシチュエ―ションのPV で、


よく出来ているとは思うんですが、これも
一般受けするかというと、


そこは謎ですね(笑)



曲としてはコ―ラスワ―クが魅力的な良曲です。




Michael Jackson 『Leave Me Alone』-YouTube





しかし、前作『Thriller』の最後の「Lady In My Life」が

「君を愛してる」


という最後だったのに対して、

このアルバムの最後の曲の主張は、


「あっちへ行け」


っていう真逆です(笑)


この5年間でマイケルを取り巻く環境がいかに変化したかが伝わってくる様ですね。





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と、いう事で、アルバム解説はここまでとなります。


マイケルはこのアルバムを3枚組の33曲収録という形態で出したいと思っていたそうですが、


クインシ―に大反対され、断念しています。


確かに売上の事を考えるならば、3枚組なんて
すごく高い値段になってしまいますから、


すごい売上は望めませんよね。


ア―ティスト側の気持ちになるとよく解るんですけどね、

創ったモノはなるべくその時に発表したいと思うモノです。



それに恐らくプリンスへの対抗意識もあったのではないかとも推察されます。


プリンスも1987年の3月に、この『BAD』に先だって2枚組の大作を発売していて、

少なからずその影響も受けたのではないかと思います。




私も随分マニアですから、この『BAD』時代の未発表曲も数多く把握して居りますが、

あくまでマイケルのレベルで考えてですが、


3枚組はおろか、2枚組すらムリだったのではないでしょうか。


兎に角、結果論としてはクインシ―の判断が正解だったように思いますね。



しかし、『Thriller』まではかなり良好だったマイケルとクインシ―との関係性も

この『BAD』時代にはガタガタになり、

その理由は、マイケルの自己主張がとんでもなく強くなってきたからであって、


親離れみたいな感じだった訳ですね。



このアルバムも大成功しましたが、これ以降
マイケルはクインシ―とのタッグを解消してしまいます。


そして、今度は自分よりも年下の若いプロデュ―サ―と組んで、


更にディ―プなマイケルのインナ―スペ―スへ突っ込んだようなアルバムを制作する事になります。


それが次回作の『Dangerous』だったのです。


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ではでは、


皆さんに幸せが訪れますように





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