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Nossy (のっし―) です。


今日は、京都駅と同じ建物内にある(のかな...❓)

美術館「えき」


にて行われている、


フランス国立図書館版画コレクション


ピカソ ~版画をめぐる冒険~



と題された展覧会に足を運んで来ました。



実はこんなに「ピカソ、ピカソ」云っている割りに、


私は今までピカソの展覧会には1回しか行った事がありませんでした



今回は2回目になります。


ピカソは子どもの頃から知っていて、とても興味をもっていた事は覚えて居ります。


美術の教科書でも特に印象に残っていましたし、

図書館で画集なども観ていたと思います。



しかし、前回の個展は少し記憶が曖昧なのですが、

もう10年以上(いや、もっとでしょうか...)

前に、友達となんとなくの成り行きで観に行ったという感じだったのです。


その時も、


「あっ、やっぱりピカソいいな」



と思った筈なのですが、なにぶんかなり軽いノリで行ったのと、

ピカソについての予備知識が一切ない様な状態だったのとで、


結局、何が何やら整理も何も付かない内に

美術館を出てしまった、


という風な感じでした



しかし、今回は違います



あれから月日は流れ流れて、私自身が本格的に絵を描き始め、


その一番の参考にと、【ピカソ】について、


古書堂を廻って画集を買い漁り、PC 等で情報を片っ端から調べ尽くし、

資料という資料に穴のあくまで目を通し、


まるで【ピカソマニア】とでも云えるくらいになってしまいました


(まぁ、もっともっとマニアックな人はいらっしゃると思いますが)


その状態で今回、2回目のピカソ展に臨んだのです。


結果はどうだったか。


それは例えるなら、とんでもなく猛勉強をしてから臨んだ期末テストの如く


余裕綽々でありました



美術館の各所に絵と共に解説文が掲載されていますが、

そんなモノをひとつも読まずとも全部解る様な状態でありました。


肝心の絵にしたって、半数は画集で観た事の
あるモノで、

それがピカソの人生のいつ頃、どういう時期に、
どういう感じの意図をもって描かれたかが

解るのでした。


『美術館ってこんなにも余裕をもって廻る事が出来るんだなぁ』



と、驚いたというのが本音です。


いや、あくまで私は『ピカソだけ』、ですけどね。


でも、美術館自体には何度か行った事があるものの、


大抵、「へぇ―」とか「ほぉ―」とか

「成程ねぇ―」とか、


よくわからない事を頭の中で呟きながら
ぼんやりと観る事になるじゃないですか❓


なりますよね❓(笑)



それが、いわゆる絵の歴史というか文脈というか、

そういうのが解っていたら、


すごく絵に集中出来るんですよね。



だから、今回はすごく余裕をもって、しっかりとピカソの絵を味わう事が出来たと感じて居ります。



あ、でも必ずしも『勉強してから行った方が良い』、

という事を推している訳ではありません



まったくの無知識で、先入観の無い状態で観るのもまた一興だと思います。



どっちでも大丈夫です。


で、今回じっくり観た一番の感想としては、



【ピカソは美しい】




この一言に尽きます。



ピカソは『ワガママだ』とか、『女ったらしだ』とか、『下手くそだ』とか、

色々云われて居りますが、


結局、絵がすべてを物語っています


絵は嘘をつきません。



下品な人には下品な絵しか描けません。

幼稚な人には幼稚な絵しか描けません。


別にそれが悪いとは云いません。


どんな絵もそれでOK だと思いますし、

それを変える事なんて出来ません。


人が性格を変えられないのと同じです。


しかし、こればっかりは技術云々の問題ではなく、

しかも、最も重要な部分でもあるのです。



もしも技術だけで絵の優劣が決まってしまうとしたら、

ものすごく絵の技術のある人なら、

絶対にトップに立てるか、大いに売れるかする筈です。



しかし、現実は寧ろ真逆です。




絵を値段で語りたくはありませんが、

今でも落札価格の上位に来る画家、...


例えば、ゴッホ、ゴ―ギャン、セザンヌ、
デ·ク―ニング、ポロック、バスキア、
ウォ―ホル...

そういった人々。


勿論私よりかは皆さん上手です。



しかし、絵画の歴史の中で、【絵の技術】という所に焦点を当てた時に、

果たして彼らは上位に来るかというと

恐らくそれは無いのではないかと思います。



しかし、そんな人々の絵の方が、実際、とても評価されている現実があります。



それは【技術】よりも

【個性】が重視された結果なのではないでしょうか❓




当然、絵の評価というモノは常に変化していますので、

いつかはまた【絵の技術の高い画家が積極的に評価される時代】がやってこないとも限りませんが、

少なくとも今はそうはなっていない様です。




話がちょっと脱線していますね。

ピカソに戻します。



今回は版画の特集であり、白黒の絵が大半を占めていたと思いますが、


それがまた美しいです。


私個人としては、ピカソの最大の魅力って、


『線の美しさ』



だと思っているんです。



だから、カラフルな絵よりも、白黒の絵の方が線の美しさがよりハッキリと際立つんですね。


勿論、ピカソの色使いも独特ですし、十分に素晴らしいと思いますが、


私は、どちらかというと、ピカソの画集なんかを観ている時も、


『デッサン』とかそういう黒ペンとか鉛筆とかでサラサラっ、と描かれている様な絵を観るのが好きです。


ピカソ自身も、

【私が大画家であるかどうかはわからないが、大デッサン家である事は間違いない】


なんていう言葉を残している程です。



『デッサン』とか聴くと、消失点やら何やら

ちょっと私は完全に独学なので専門用語は一切意味が解らないのですが、

【モノを正確に描く事】とか【下書き】みたいなイメ―ジがあるのかも知れませんが、



私の認識は全然違って、


『デッサン』も立派な作品だと思いますし、


線の美しさや力強さ、生命力を味わうのに最適な芸術の手法だと思うくらいなのです。



私は『デッサン』が大好物ですからね。





実を云うと、私自身の絵も、売りにしているのは

【線】


なんです。


自分で『美しい』とか『力強い』とかは

主張しませんけれども、独特な線だとは思って居ります。


ですから、私の絵は白黒のモノが多いのです。

必然的に多くなってしまう。


色使いに苦手意識があるというのも正直あるのですが、

前述の様に、



彩色すると【線の力】が

失われてしまう気がするからなんですね


皆さんの反応を観させて頂いて居りますと、

矢張カラフルな絵の方が反響が多い気もして、


私もどんどん色の世界に挑戦しなくちゃなぁ、

なんて事は思うのですが、


結局、サッ、と軽く描けるのは白黒の絵なんですね。


なので、


これからは白黒の絵においても、

更に表現の幅を広げていける様に、

画材や手法を研究中であります。



兎に角、そういう事情もあって、今回のピカソの展覧会は私にとってはとても素晴らしいモノでありました。


とても美しい空間で美しい時を過ごせました



私もいつか皆さんに美しい空間と時間を提供出来ればいいな、


と思いました。




皆さんに幸せが訪れますように



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